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第6回 北欧とフランスは、なぜ両立できたのか

スウェーデンやフランスでは、女性が当たり前に働き、子どもも多く生まれている。

「国民性が違うから」で片づけてはいけない。彼らも昔から平等だったわけではない。長い時間と、具体的な政策で、後から作り上げたのだ。
今回はその中身を盗み見る。

先に言っておくと、北欧やフランスを「理想郷」として崇めるのは間違い。彼らにも課題はある。
だが、日本がまだやっていないことを、彼らが先にやってきたのは事実。使える知恵は、素直に学ぼう。

北欧の切り札①:父親に育休を“割り当てる”

スウェーデンなどの北欧諸国がすごいのは、「父親しか使えない育休期間」を法律で用意したことだ。これを「パパ・クオータ」と呼ぶ。
夫婦合計の育休のうち、何カ月かは父親が取らなければ消滅する。「使わなければ損」という設計にして、父親を半ば強制的に育児へ引き込んだ。

精神論で「男も育児を」と叫ぶのではなく、制度で動かした。ここが賢い。

北欧の切り札②:保育と教育を“安く”する

北欧は税金が高い。だがその代わり、保育料や教育費が驚くほど安い。子どもを持っても家計が破綻しない。

「産んだら金がかかって生活が苦しくなる」という不安を、国が肩代わりしている。負担を個人から社会へ移したのだ。

フランスの切り札:多様な家族を丸ごと支える

フランスはかつて少子化に悩んだが、手厚い家族支援で出生率を回復させた国だ。

子どもの数が増えるほど手当が増える仕組みや、保育の選択肢の多さが効いた。さらにフランスでは、結婚していないカップルの子どもも法的に等しく扱われる。

「正しい家族の形」を一つに決めず、どんな形で子を持っても国が支える。この“間口の広さ”が、産みやすさにつながっている。

日本との決定的な違いは何か

北欧もフランスも、共通しているのは「子育てを個人の自己責任にしない」という思想。

子どもは社会全体で育てる財産だと考え、税金を堂々と投じる。日本は逆に「子どもは親の責任」という意識が強く、支援も遠慮がちだ。
この思想の差が、制度の差となって表れている。

ただし、丸ごと真似はできない

「国民性が違う」で片づけてはいけない

ここを強調したい。

北欧やフランスを「もともと進んだ民族だから」と片づけるのは、最も危険な誤解だ。

彼らも数十年前までは、男女の役割がはっきり分かれた社会だった。スウェーデンでさえ、女性が自分で人生を設計するための手段が整ったのは、そう昔のことではない。

彼らは“生まれつき平等”だったのではない。激しい議論と、痛みを伴う政策の積み重ねで、後から平等を作り上げた。だから、日本にもできる。これは精神論ではなく、希望の話だ。

鍵は「父親を当事者にした」ことだ

北欧の成功の核心を一言でいえば、父親を“育児の当事者”にしたことに尽きる。

育児を母親の仕事のままにしておけば、女性はいつまでも二重労働から逃れられない。だから制度で父親を引き込み、職場も「父親が育児で抜ける」のを当たり前にした。すると家庭の中の偏りが減り、女性が働き続けられる。

母親を支援するだけでは足りない。父親を動かして初めて、歯車は回り出す。この順番を、日本はまだ十分に学んでいない。

反対に注意も必要。高福祉は高負担とセットであり、日本でいきなり税を倍にはできない。

北欧でも、保育や介護といった分野で働くのは女性が多く、別の偏りが残っているという指摘もある。完璧な国などない。それでも、「父親を制度で巻き込む」「子育ての金銭負担を社会化する」という発想は、日本がすぐにでも参考にできる。

次回は、もっと日本に近い悩みを抱える国──アメリカ、韓国、ドイツ、イギリスを見てみる。

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