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【女性の社会参画】第1回 そもそも「女性の社会参画」とは何か

オフィスの隣の席。半年前まで産休・育休でいなかった同僚が、先週から復帰した。「おかえりなさい」と声をかけながら、私はふと思った。──彼女はこれから、子どもの送り迎えをしながら前と同じように働けるのか。そして、なぜそれを心配するのは、いつも女性のほうなのか。

「女性活躍推進」「ジェンダー平等」。研修やニュースで何度も聞く言葉だ。だが正直に言おう。「言葉は知っているが、中身は知らない」「自分の仕事には関係ない」。そう感じている会社員は多い。何を隠そう、この記事を書き始めたときの私自身がそうだった。だからこのシリーズは、難しい専門用語をいったん脇に置き、「そもそも何の話なのか」から一段ずつ階段をのぼっていく。

全15回程度でまとめる予定で記載していく。

「社会参画」とは「決める側に回る」ことだ

まず言葉を整理する。「社会参画」とは、ざっくり言えば「社会のいろいろな場面に、自分の意思で参加し、“決める側”に回ること」だ。働いて稼ぐ。会社で課長や部長になる。地域や政治の場で「こうしたい」と声を上げ、ルールを決める側に立つ。これらすべてが社会参画である。

ここで大事なのは「ただ参加する」ことではない。「決める側に回れるか」だ。会議室に座っていても、いつもお茶を出す係で、自分の発言が決定に反映されないなら、それは本当の意味での“参画”ではない。つまり「女性の社会参画」とは、「女性が、男性と同じように、働き・昇進し・社会のルールを決める場に立てているか」という問いなのだ。

では、今の日本はどうか

数字を一つ出す。世界経済フォーラムという国際機関が毎年、「その国で男女がどれくらい平等か」を点数にして順位をつけている。これを「ジェンダーギャップ指数」と呼ぶ。2025年版で、日本は148カ国中118位だった。G7(主要7カ国)では、堂々の最下位である。

「日本がそんなに低いはずがない」と思うかもしれない。だが、これが現実だ。実は教育や健康の分野だけ見れば、日本はほぼ世界トップクラスにある。女の子も男の子と同じように学校へ通い、医療も受けられる。ここは優秀だ。ところが「働いて稼ぐ」「組織や政治のリーダーになる」分野になると、点数はガクンと落ちる。課長より上の役職に女性が占める割合は、いまだ1〜2割にとどまる。日本は、能力を育てる“入口”は平等なのに、その力を発揮する“出口”が狭い国なのだ。

「自分には関係ない」は、間違いだ

ここで「でも、それは女性の問題だろう」と思った人へ。断言する。これはあなた自身の問題でもある。理由は三つだ。

一つ目は、金だ。働きたいのに力を出し切れない人が大勢いるということは、社会全体で大きな“もったいない”が起きているということ。これは国の経済成長、ひいてはあなたの給料やボーナスに直結する。二つ目は、家庭だ。「男は仕事、女は家庭」という古い役割分担は、裏返せば「男は家庭に関わりにくい」ということでもある。育児や介護を妻に押しつける構造は、男性の生き方の自由も奪っている。三つ目は、人手不足だ。これからの日本は働く人が急速に減る。性別に関係なく、やる気と力のある人が活躍できる会社でなければ生き残れない。もう、そういう時代なのだ。

このシリーズの“地図”

とはいえ「平等が大事です、以上」で終わるなら誰も苦労しない。なぜ、こんなに分かりきったことが前に進まないのか。そこには制度の問題、金の問題、そして最後に立ちはだかる“あるラスボス”がいる。その正体はシリーズ中盤で明かす。これから全15回かけて、日本の女性がぶつかる「見えない壁」を確かめ、世界と比べ、歴史までさかのぼり、最後は「では、どうするのか」までたどり着く。知らないことは恥ではない。「知らなかった」と気づいた今が、スタート地点だ。

「もったいない」を、金額に置きかえてみる

抽象論で終わらせたくないので、金の話をする。もし日本の女性が、男性と同じように能力を発揮して働けたら、国全体の経済はどれだけ大きくなるか。複数の専門機関の試算では、その効果は国内総生産を一割前後も押し上げる規模になるとされてきた。一割だ。消費税の上げ下げで大騒ぎする額の比ではない。そしてこれは、遠い国家予算の話ではない。経済が大きくなれば、巡り巡って私たちの給料に、会社の業績に、将来の年金の原資になる。女性が活躍できないことの“もったいない”は、回り回って私自身の財布から出ている。そう気づいたとき、私はこの話を「他人事」の棚から下ろした。

用語ミニ解説「ジェンダー」とは

体の性別(生物学的な男女)とは別に、「男らしさ・女らしさ」「男はこうあるべき」といった、社会や文化がつくった“役割や思い込み”のこと。このシリーズの主役は、この“後から作られたほうの性別”だ。

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