【 SOUNDPEATS Clip1 レビュー】“ながら聴き”でも音質を妥協しない、オープンイヤーの完成形

オープンイヤーイヤホンと聞くと、「軽いけど音がスカスカ」「低音が出ない」といった印象を持つ人は多い。
だが、その常識を覆すモデルが登場した。それが、今回レビューをする「SOUNDPEATS Clip1（クリップワン）」である。

耳をふさがないイヤーカフ型ながら、12mmデュアルマグネットダイナミックドライバーとLDAC対応のハイレゾ音質を両立。
しかもDolby Audio対応で、音楽も動画も立体的に響く。

VGP2025 SUMMERでは金賞とコスパ大賞をダブル受賞しており、単なる “ながら聴きイヤホン” の枠を超えた実力を持つ。商品提供をしてもらうことが出来たので、実際に使用した感想と評価をレビューする。

SOUNDPEATS(サウンドピーツ) Clip1 イヤーカフイヤホンワイヤレスオープンイヤーイヤホン

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SoundPEATS(サウンドピーツ)

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SOUNDPEATS Clip1の外観

SOUNDPEATS Clip1を開封すると、同梱物は非常にシンプルだ。

パッケージの中には、本体イヤホン・充電ケース・USB-Cケーブルが基本構成として収められており、そのほかに取扱説明書とブランドロゴシールが付属する。

本体は耳を挟み込むように装着するイヤーカフ型のデザイン。カナル型やインイヤー型と異なり、耳の穴をふさがない構造だ。

充電ケースはやや厚みがあり、これはイヤーカフの形状を収めるための設計上の特徴といえる。
左右自動識別機能を備えており、左右を逆にしても問題なく収納・使用できる。日常的な取り回しがとてもスムーズという特徴も持っている。

前世代のイヤーカフ型モデル SOUNDPEATS CC （画面左側）と比較すると、Clip1では本体形状とケースサイズが刷新されているのが分かる。

CCの方がコンパクトではあるものの、装着感と音質の完成度はClip1が明確に上回る。
以降の章で、その違いと進化のポイントを詳しく解説していく。

12mmデュアルマグネットドライバーで“響く低音”

SOUNDPEATS Clip1の核となるのは、12mmデュアルマグネット構造のダイナミックドライバーである。
チタンPVDコーティングを施した振動板が高剛性を確保し、振動の伝達を正確にコントロールするという仕様。

実際に聴くと、オープンイヤーとは思えないほど低音がしっかり出ている。ベースラインが輪郭を保ったまま響き、ドラムのキックも存在感がある。
さらに、SOUNDPEATS独自のDynamicEQ Proアルゴリズムが搭載され、ジャンルや音量に応じて低・中域のバランスを自動で最適化が可能。
小音量時でも軽いスカスカな音ではないため、音漏れを気にするような場所での利用にも向いている。

LDAC対応＆ハイレゾ認証。音の情報量が違う

SOUNDPEATS Clip1はLDACコーデックに対応しており、ハイレゾ音源の再生に正式認証を取得している。
ハイレゾ対応のスマートフォンやウォークマンと組み合わせると、96kHz/24bitの高解像サウンドがそのまま伝わる。

実際にAndorid端末を使用し、LDACで接続すると音の数・透明感が明らかに違うことがわかる。
極端な話、ボーカルの息づかいまで細かく聴き取れる楽曲もあり、変な違和感を感じてしまうほどである。
これはBluetoothのワイヤレスイヤホンの中でもLDAC接続だから得られる解像感。

残念ながらiPhoneではLDAC接続が出来なためAAC接続となるが、それでも十分な音質を維持しており、どの環境でもバランスよく鳴らす調整がされていると思われる。
「ながら聴きイヤホン」という位置づけでありながら、音質を蔑ろにしないコンセプト。素晴らしい。

Dolby Audio対応で動画・映画も立体的に

SOUNDPEATS Clip1のもうひとつの特徴が、Dolby Audio対応であること。
YouTubeやNetflixなどDolby対応の動画では、音の奥行きと空間表現が格段に広がる。

映画のセリフが中央に定位し、環境音やBGMが後方に抜ける。
音楽でもライブ音源の臨場感がしっかり感じられ、“ながら観賞”にも最適。
軽いイヤーカフ型でありながら、空間再現性の高さには驚かされる。

耳をふさがない軽快さ。片耳5gの快適装着

SOUNDPEATS Clip1の装着感は、想像以上に軽い。
片耳わずか5gの本体は、長時間つけても耳が痛くならない。

形状記憶合金（ニッケルチタン）を使ったN-Flex Arch構造が、耳の形に自然にフィット。
シリコン素材も肌触りが良く、マスクやメガネとの干渉もほとんどない。
実際にメガネ＆マスクのコンボで半日装着し続けても、痛みや違和感を感じることはなかった。
別モデルの SOUNDPEATS CC ・Chasers・ GoFree2 も同様に高い装着感であったので、ノウハウ・思想が上手く引き継がれているのだろう。

さらにClip1はAutoSense 左右自動識別に対応しており、どちらの耳に装着しても、自動で左右を判断してくれる。
イヤーカフ型特有の「装着向きの迷い」を解消してくれる便利な機能だ。

もっとも、私自身の使い方では「外したらケースに収納し、使うときはケースから取り出して装着する」ため、左右を間違える場面はほとんどない。
それでも、“いざという時に迷わず使える”という安心感があるのは確かだ。
無くても困らないが、あると地味に便利。そんな実用的な特徴である。

周囲の音を自然にキャッチ。安全性も◎

オープンイヤー構造の最大の利点は、外の音が自然に聞こえること。
SOUNDPEATS Clip1も例外ではなく、周囲の環境音を遮らない設計。

ウォーキングや通勤時でも車の接近音や人の声を把握できる。
在宅ワーク中に家族の呼びかけを聞き逃すこともないのはありがたい。

「ながら聴き」を前提とした使い方において、Clip1の安全性と快適性は抜群である。

バッテリーは最大40時間。急速充電にも対応

SOUNDPEATS Clip1はイヤホン単体で約8時間、充電ケース込みで最大40時間再生が可能。
さらに10分充電で約2時間再生できる急速充電にも対応している。

LDAC接続時は多少短くなるものの、通勤やオンライン会議程度なら余裕でカバーできる。
IPX5防水仕様なので、小雨や汗程度なら問題なし。
日常使いでの耐久性も十分だ。

接続は安定のBluetooth5.4＆マルチポイント対応

通信方式は最新のBluetooth 5.4を採用。
電波の安定性が高く、遅延も少ない。

さらにマルチポイント接続に対応しており、スマホとノートPCを同時接続可能。
仕事中はTeams会議、休憩中は音楽という切り替えもスムーズだ。

“ながら作業”に最適な設計思想が徹底されている。

受賞実績｜VGP2025 SUMMERで金賞＆コスパ大賞

SOUNDPEATS Clip1はVGP2025 SUMMERで金賞とコスパ大賞をW受賞している。
1万円前後という価格帯で、ハイレゾ・LDAC・Dolby対応を実現した点が高く評価されたようである。

実際、他社・他機種のオープンイヤーと比べても音質・装着感・機能性の総合力はワンランク上。
「価格を超えた完成度」という言葉がぴったりの一台だ。

もちろん弱点もある

ここまでSOUNDPEATS Clip1の特徴として優れた点をまとめたが、もちろんオープンイヤーの特性上、イヤホンとしては完璧ではない部分もある。

まず、オープンイヤー構造ゆえに遮音性は低い。静かなオフィスや電車内では音漏れにも注意が必要。
さらに、装着位置によって低音の出方が変わるため、耳の形に合う位置を探す調整が必要になる。装着中でも走ったり衝撃があるとズレることもある。これはオープン型全般に共通する宿命と言って良いだろう。

それ以外では、ANC（アクティブノイズキャンセリング）非搭載であること。
ただし、外音を自然に取り込む設計そのものがオープンイヤーの目的である以上、ここを弱点と捉えるのは筋違いかもしれない。
むしろ「静寂を求めるなら密閉型を」「自然な開放感を求めるならClip1を」と考えるのが正しい。
言い換えれば、欠点というより“設計思想の違い”として理解しておくポイントだ。