一般的な用語として少し認知度が上がってきた"VPN"だが、実は必要な理由・活用方法を知っている人はわずかである。セキュリティの向上・海外サービスの利用が可能等の断片的な情報を知っているだけでも、「情報に強い人」と言える程にVPNを意識して利用する人は少ないだろう。
今回は”VPN”とは何ぞや?という話から、VPNの活用例・初めての利用には "NordVPN”がおすすめという内容でレビューをまとめる。"VPN"をまったく知らない人・どのサービスを利用したらよいかわからない人は、知識を得る目的で読み進めて欲しい。
VPNとは
VPN(Virtual Private Network、仮想プライベートネットワーク)は、簡単に言うと「インターネット上でプライベートネットワークを構築する技術」となる。その目的は主に2点で
①ユーザーの通信データが暗号化され、セキュリティとプライバシーが強化される
②地理的な制約を回避し、異なる地域のコンテンツにアクセスする
となる。
①は公共のWi-Fiを利用する際のセキュリティ強化、企業内ネットワークへのリモートアクセス、検閲の回避などが具体的なイメージである。②は日本では視聴が出来ない動画等のコンテンツを海外サーバーからのアクセスを装うことで視聴可能にすることである。
VPNの活用方法例
もっと具体的にどのような場面でVPNが必要・活用すべきかを整理する。
1. 公共のWi-Fiでの安全なインターネット利用
カフェや空港などで公共のWi-Fiを利用する際、VPNを使用して接続を暗号化することで、データの盗聴やハッカーからの攻撃を防ぐことができる。そんな場面に遭遇したことが無い人からしたら、過敏すぎると思うかもしれないが、実は気づかないところでデータを抜かれているなんてことは今や当たり前なのである。
2. 地理的制限の回避
特定の国でしか視聴できないNetflixの番組やYouTubeの地域限定動画を視聴したい場合、NordVPNのサーバーをその国に設定することで、制限を回避してコンテンツにアクセスできる。
例を挙げると、Netflixでジブリ作品は日本で視聴できない。それは日本の配信サービス会社が配信権を持っていない故。しかし、 海外ではフランスの会社が配信権を取得している為、海外版のNetflixでは視聴が可能。VPNサービスを利用し、海外サーバーからアクセスすれば視聴が可能なのだ。
3. プライバシーの保護
インターネット上での活動をISP(インターネットサービスプロバイダー)や第三者から隠すために、VPNを使用してIPアドレスを隠し、オンラインの匿名性を保つことができる。
IPアドレスに関しては、一般人には隠す意味がわからないこともあるだろうが、SNSが主流の時代ではやっておいた方が良い。誰かの発信情報に書き込みをするだけで、IPアドレスは発信者に確認が可能だったりする。それだけで個人の特定は難しいが、様々な角度から得た情報を繋げて解析することで、いつかたどり着いてくる可能性はある。こんな時代だからこそ自分の身は自分で守りたい。
4. 安全なファイル共有
ファイル共有サービス・P2Pネットワークを使用してファイルを共有する等、VPNを使用することでデータを暗号化し、プライバシーを保護しながら安全にファイルを共有出来る。
5. リモートワークのセキュリティ強化
リモートワークを行う際に、会社のネットワークに安全にアクセスするためにVPNを利用することは当たり前。法人向けVPNと言えば、この意味合いが強いだろう。
6. インターネット検閲の回避
インターネット検閲が厳しい国(例えば中国やイラン)で、VPNを使用して検閲を回避し、自由にインターネットを利用することが出来る。ただ、VPNサービスでも中国の場合は通信不可となるものが多いらしい。
7. オンラインゲームのラグ削減
特定の地域のゲームサーバーに接続してラグを減らしたり、ゲームの地域制限を回避して他国のゲームサーバーにアクセスしたりするために、VPNを利用するという手段もある。これはかなり上級ゲーマーの思考なのだと思うが、世界展開しているゲームで遊んでいる人は試す価値有り。
8. お得なオンラインショッピング
地域によって異なる価格設定がされているオンラインショッピングや旅行予約サイトで、VPNを使用して異なる国のサーバーに接続し、より安い価格で商品やサービスを購入することも可能。私自身がそこまで活用したことが無いので、具体例を出すことは出来ないが、裏技・ライフハック的な使い方である。
9. セキュリティ意識の向上
オンラインの情報管理の意識を高める一環として、日常的にVPNを使用することで、セキュリティの重要性を実感・徹底する動機付けになる。過剰に実施し不自由・コストが掛かり過ぎてしまっては本末転倒だが、インターネットの安全性、プライバシー、自由を保つためにもわかりやすい・使いやすい・コスト負担が少ないサービスを利用してみることがまずは大事なのである。
わかりやすい・使いやすい・コスト負担が少ないという点に着目すると、初めて使うVPNサービスにオススメしたいのが、NordVPNとなるわけだ。
NordVPNとは
NordVPNは、世界中のユーザーに人気のあるVPNサービスプロバイダーの一つ。2012年に設立されたNordVPNは、特にセキュリティとプライバシー保護に重点を置いており、軍事レベルの暗号化、ノーログポリシー、多様なサーバーオプションを提供している。
現在、NordVPNは世界111か国以上に6,000以上のサーバーを持ち、ユーザーが高速で安定した接続を利用できるようにしている。また、Windows、macOS、iOS、Androidなど、さまざまなプラットフォームに対応しており、誰もが利用できるサービスと言っても過言ではない。
NordVPNのメリットとデメリット
メリット
- セキュリティとプライバシー
- 軍事レベルの暗号化: NordVPNはAES-256暗号化を使用しており、これによりデータの盗聴や漏洩を防ぐ。
- ノーログポリシー: NordVPNはユーザーのオンライン活動を記録しないため、プライバシーが保護される。
- 多彩なサーバーオプション
- 世界111か国に6,000以上のサーバーがあり、ユーザーは最適なサーバーを選んで高速かつ安定した接続先を選べる。
- 使いやすさ
- インターフェースが直感的であり、初めてのユーザーでも簡単にセットアップ・利用が可能。
- 多様なデバイス対応
- Windows、macOS、iOS、Androidなど、幅広いデバイスで利用可能。また、一つのアカウントで最大10台のデバイスを同時接続が可能。
デメリット
- 価格
- NordVPNは無料・その他安価なVPNサービスと比べると料金は若干高め。ただし、長期契約をすると割引が適用される為、継続利用者にはコスパが良い。
- 一部のサーバーの速度
- サーバーの混雑状況によっては、接続速度が遅くなる場合がある。世界111か国に6,000以上のサーバーを保有しているので、サーバーを変更することで解決することもある。これは正直どこのサービスも同じ課題を抱えている。
NordVPNを実際に利用した結果
インストール
各プラットフォームへのインストールは非常に簡単。ユーザー登録・ライセンス契約を済ませてしまえば、アプリのインストール後にログインID・PWを入力すれば準備完了という状態。
私自身はWindows・iPhone・iPad・Androidスマホの4台にアプリのインストール・ログイン設定を行った。
VPN接続をする場合は、世界地図上から接続したい国・地域のサーバーを選択して、接続をONにするだけである。NordVPNは最大10台のデバイスの同時接続が可能。上記イメージでは4台が同時接続しているが問題なく各端末で接続が出来ている。
VPN接続時の回線品質
VPNを利用していない状態と比較し、品質が落ちるのは当たり前だが、NordVPNは遠方の地域に接続しても利用に耐えうる結果だった。以降でVPN利用無しの状態と日本国内・各国のサーバー接続時の計測結果のイメージを載せる。
VPN無し(ソフトバンク光回線)
夜間21時台ではダウンロード144Mbps、アップロード136Mbpsという結果だった。この値を基準として、VPN接続時の変化を見ていきたい。
VPN 日本国内(東京)サーバー接続
ダウンロード94Mbps、アップロード75Mbpsと非常に高品質であった。無料のVPNであれば、1Mbpsも出ないことがある状態のなか、さすがNordVPNである。この品質であれば、「セキュリティとプライバシー」の保護を目的に常時利用してもまったく問題ない。
VPN フランス サーバー接続
ダウンロード39Mbps、アップロード7Mbpsとなり、VPNで地域を変更して動画を視聴するには十分すぎる結果であった。フランスを経由してもこの品質は驚きである。
参考にアメリカ(ロサンゼルス)とイギリス(ロンドン)の結果も載せておく。
VPN アメリカ サーバー接続
ダウンロード39Mbps、アップロード10Mbps
VPN イギリス サーバー接続
どちらもダウンロードは想定していた以上に高品質である。
VPN接続時の回線品質としては、日本国内での常時利用:非常に快適。海外サーバーを経由しての各種サービス利用:快適。と判断して良いだろう。
NordVPNのプランと価格設定
NordVPNには3つのプランがある。
ベーシックプラン
安全かつ高速なVPN・一度に10台のデバイス接続
プラスプラン
ベーシックプランに追加で、マルウェア保護・トラッカーと広告ブロッカー・クロスプラットフォーム対応のパスワード管理アプリ・情報漏洩スキャナー の機能が利用可能となる。
コンプリートプラン
プラスプランに追加で、1TBの暗号化されたクラウドストレージ が利用可能となる。
純粋にVPN機能を求めるだけなら、ベーシックプランで良いが、他プラントの金額の差が絶妙な設定なので、プラス・コンプリートも目的によっては有りだ。
各プランの価格設定は下記表の通り。
お試し的な利用の1ヶ月プランはかなり割高であるが、1年・2年プランは非常にリーズナブル。これで10台同時接続可能なのである。
他社と比較すると、高速通信が売りのExpressVPNはベーシックなプランが1年契約で8.32ドル/月(約1,250円)。NordVPNのコスパが理解出来る。コスパだけを重視した場合、最安のSurfshark(1年契約で577円/月)には敵わないが、対応国・サーバーの数で勝るNordVPNの方が通信品質は良いようなので、初めての利用で安心を得つつ・出来る限り安価を求めるのであれば、NordVPNが良いと私は思う。
結論
NordVPNが信頼性の高いVPNサービスとして、多くのユーザーに愛用されているという理由が実際に使ってみたことで理解出来た。想像以上に通信品質が良い。セキュリティとプライバシーを重視しVPNを利用する場合、常時利用が前提となるので通信品質は絶対条件。目的を達成できるサービスと言える。
また、VPNのもう一つの活用方法である海外サーバーからの各種サービスの利用に関しても、動画などのコンテンツを利用するのに十分耐えうる回線品質であった。
「高品質を求めるが、可能な限り価格は抑えたい」・「VPNサービスを始めて利用する」という人におすすめしたいサービスである。VPNは使ってみて始めてその価値と必要性が理解出来る。「情報に強い人」を目指す人は是非利用してみて欲しい!
それでは、良きVPN生活を!!