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【考察】富士通サブスクPCのニーズを探る【単なる割高割賦】

2022年4月23日

SNS等で疑問・炎上している富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が提供をし始めた個人向けパソコンのサブスク「FMV Prime」に関する考察を記事にする。

サービスの概要と疑問・炎上ポイントを整理した上で、どこにターゲットを設定したサービスなのか、利用する価値があるのかを確認する。

結論は「情弱ホイホイ・お年寄り向けサービス」である。

富士通サブスクPC「FMV Prime」とは

手軽にパソコン生活をスタート!として、保守・サポートサービスとパソコン本体をセットで月額提供するサービスである。イメージは下記。

所有型から利用型が活発になった現代において、ニーズを捉えた新たなサービスかと思ったが、その内容はかなり怪しい。

SNS等で炎上するのも納得出来るほどである。では、どのようなサービスかを具体的に見ていく。

ノートパソコンの機種・スペック

15.6型ワイド オールインワンリビングノート AHシリーズ LIFEBOOK WA2/F3

公式ページより引用

オールインワンという名前が高級感を出しているが、CPUはCeleron 6305、メモリは4GBと非常に低スペック端末である。

Celeron 6305は2コア2スレッドの1.8GHzクロックなので、処理性能が低い。Officeなどのソフトを使うだけでもモッサリする安価なCPUである。

Windows 11は推奨メモリが8GB以上とされているのに4GBしか搭載していない。

車で例えるならばCeleron+4GBメモリは軽自動車。せめて普通自動車程の馬力となるCore iシリーズ+8GBメモリは欲しい。

これが日本を代表するパソコンメーカー富士通ブランドが世の中にサブスクとして提供するパソコンのスペック。

パソコンのサブスク「FMV Prime」のパソコン本体は低スペック

と、まずは認識する必要がある。

保守サポート・サービス

サブスクとして提供する保守サポート・サービスは3つ。

My Cloud プレミアム あんしんスタンダードコース

  • 1回3,140円のプレミアム電話サポート
  • 国内宿泊、海外宿泊、レジャー、スポーツ、ショッピング、育児・介護など多数のサービスを優待価格で利用可能
  • 総額44万円相当、100種類以上のソフトが使い放題

パソコンを一切触ったことがないか、ほぼ使わない人向けのサポートである。なんなら2つ目の「多数のサービスの優待価格」って、パソコン関係ないし。

また、総額44万円相当のソフトのラインナップもふざけている。下記が人気ソフトとのこと。

公式ページより引用

WEB上で無料で遊べたり利用できるソフトと同等のものばかり。これを「ボッタクリ」と世間では言うのだろう。

PC保証アップグレードサービス ワイド保証サービス

サービスの概要は下記。

公式説明文から引用

このサービス自体は必要だと思う人には響くのだから良いとは思う。問題は低スペックパソコンに対しての保証としては過剰過ぎないか?という点だ。

万が一を考慮するのが保証サービスだが、これなら買い直したほうが安い場合もありそうだ。

FMVまなびナビ ワンポイントレッスンコース

公式の説明文を引用する。

パソコン活用の「○○がやりたい!」「困った!」「どうすれば良いの?」にお応えするサービスです。リモートサポートなので、お客様の画面を一緒に確認しながら、丁寧にご対応します。無制限コースなので月に何度でもお問い合わせいただけます。

公式ページより引用

パソコン・ソフトに関することだけでなく、ネットショッピング等を例にする時点で、完全にお年寄りをターゲットにしている。

ここまでが3つの保守サポート・サービスの内容である。

パソコンを使ったことがない、周りに教えてくれる人がいない人からお金をむしり取るサービス

ここまで言っても過言ではないと思う。

もちろん、それが悪いとは言わない。情報がない人はそれなりのお金を払わなければならない資本主義社会の縮図である。

「FMV Prime」の月額費用

お年寄りであったり、情報を持っていない人向けのサービスだと記載したが、そもそもサービス価格が安価であれば、炎上などしない。

「FMV Prime」は月額費用がエグい。下記が価格表である。

公式ページより引用

最安の「5年利用のOfficeなし」を選択した場合、月々3,980円。「さんきゅっぱ」って言葉で安さを出している感があるがとんでもない。

5年で総額238,800円!!(しかもOfficeなし)

高スペックゲーミングパソコンよりも高い。

提供される低スペックパソコンは直販で113,080円で販売されている。となると、月額費用の半分は保守サポート・サービスの費用。

ただし、保守サポート・サービスは「パソコンを使ったことがない、周りに教えてくれる人がいない人」しか利用しないような内容。

コスパ最悪のサービス

そもそも低スペックパソコンが113,080円で売られることも信じられない。

この金額一覧で驚いたのが、エントリープラン以外のオンライン〇〇のサービスである。

囲碁とか将棋をオンラインでやるだけで月数千円増えるって、さすがにぼったくりすぎ。

ここまでくると、「無知は罪」とも言い切れなくなる。

サブスクと言いながら割賦の契約

PCサブスクリプションという名称故に勘違いをする人が多数いると思うが、このサービスは途中解約をした場合に、違約金だけでなく残価の支払いも必要となる。

例えば月額3,980円の5年契約をしていたが、24ヶ月利用して解約する場合、

違約金5,500円+残り36ヶ月×3,980円で、148,780円を支払わなければならない。

いやいやいや、それならサブスクって言っちゃダメでしょ

単なる割賦契約である。

さらに違和感を感じるのは、月額の半分は保守サポート・サービスの価格である。解約をして使うことが絶対にないのに、残価に含まれる。

契約内容的には、解約後も保守サポート・サービスは利用できるとされている。支払いをしているから当たり前のことだが、単純にメーカーがお金を回収したいからという理由以外に他ならないと感じる。

日本メーカーの個人向けパソコンは元々無知な人向け

ココまでで私はFMV Primeは「ぼったくり」な価格と記載しているが、そもそも日本メーカーの個人向けパソコンは、昔からスペックの割にめちゃくちゃ割高。しかし、それでも売れてきたのだ。

要は、ブランドネームでお客に安心を売っていたのだ。

富士通だから、NECだから、「何かあったら面倒を見てもらえる」という目的で割高でも売れたのである。

そういう意味でいくと、今回の「FMV Prime」もパソコンを買うこと・パソコンを使うことに不安を感じる人には高くないサービスなのかもしれない。

私個々人としては信じられない価格だが、価値観は人それぞれなのであろう。

「FMV Prime」のターゲット

ここまでで記載した通り、

パソコンを使ったことがない、周りに教えてくれる人がいない人

が対象となるが、言い換えると「お年寄り」である。更に言うならば、「子供と同居していないお年寄り」と限定出来るほどである。

そのような人たちが本当にパソコンを必要とするのか?と疑問に思うことはあるが、

変わりゆく時代に追いつこうとする前向きな方々

と捉えると、素敵と思える。

もちろんこの月額費用なので、経済的に余裕がないと利用できない。しかし、新しいことにチャレンジするきっかけ・習い事の一つとなる等、考え方によってはコスパの良いサービスなのかもしれない。

ただし、ターゲットはそこだけである!!

間違ってもパソコンがある程度操作できる・処理を必要とする使い方をする人は選択してはいけない。

炎上ポイントは何だったのか

今回SNS等で「FMV Prime」が炎上をしていた主な理由は

  • パソコンのスペックが低すぎる
  • 月額の半分は価値の無い保守サポート・サービス
  • サブスクと言いながら割賦

である。ただし、ターゲットが明確に理解できれば、炎上する程の内容ではない。

私が考えるに、問題は「サブスク」という単語を交えたことだと思う。

サブスクは若者向けサービスが多い

所有から利用へシフトしたサービスが人気を集めているのは若者のニーズとマッチしたからである。

はっきり言って、現代の若者はバブル期を過ごした世代と比較し、格段に生活が苦しい。お金に余裕がない。

音楽・映画・ドラマ・アニメ等、1つ1つ購入することなく、月額の範囲内で無制限で利用出来るサブスクは、若者の味方である。

そのような時代の象徴であるキーワードを使いながら、実態が全く異なるサービスを出したことが問題なのだ。

「FMV Prime」のターゲットが「お年寄り」で間違いないのであれば、「サブスク」のキーワードは変えたほうが認知度と信頼度は上がると思う。

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